エッセイ

人生は「長渕剛」の名曲のようだ

私は、動物が苦手だ。

特に、犬が怖い。

 

彼らと道ですれ違う時は、気配を消して極力端を歩くようにしている。

立ち上がったら身長が成人男性の平均ほどありそうな大型犬が怖いのはもちろんだが、小型犬もあなどれない。

 

油断していると、吠えながらすごい勢いで駆けよってくる。

その姿はまるで、ぬいぐるみの皮をかぶったオオカミだ。

 

自身が想定するリードの長さを遙かに越えた、「極長リード」を装着された彼らは向かうところ敵なしの無双状態だ。

 

お散歩時の「極長リード使用許可条例」の撤廃を、切に願う。

 

私はなにも、未来あるお犬様たちの若い芽を摘もうとしているわけではない。

 

ただ、怖いのだ。

 

1万人を対象に独自に行った「怖いものといえば?」の調査結果がこれだ!!

 

 

そして更に、確かな筋から入手した情報によると、近年、私のような動物嫌いが動物に遭遇した際におちいる状況として下記のようなデータがある。

 

 

動物が苦手な私が保護ネコのイギーと暮らし初めて早2年半が経ち、ネコが大好きになった。

少しずつ犬や他の動物にも、愛情が芽生えつつあるのを感じる今日この頃だ。

 

土曜日の朝、夫とウォーキングにいこうと家を出た。

50メートルほど先にある公園に、人影があった。

軽い近視で少しぼやけてはいるが、おじさんと犬がいた。

 

ピー子:「ねぇ、公園の前におじさんいるよね?」

夫:「うん。いるねぇ」

ピー子:「しかも、犬いるよね!」

夫:「えっ?」

ピー子:「おじさん、犬にリードつけてないやん!ヤバい!噛まれる!」

 

夫に隠れて、おびえながら公園の前を通りすぎるとき彼が急に爆笑し始めた。

こっちは恐怖に打ち震えているというのに……。

なにを笑ってるんやと、苛立ちながら顔を上げた。

 

夫:「ネコだな」

ピー子:「あれ?犬の散歩中のおじさんじゃない!おじさんと野良ネコやん!」

 

おじさんが「ピーピーピー♪」と長渕剛の名曲『ろくなもんじゃねえ』風の音を出すと、どこからともなく野良ネコが続々と集結した。

 

夫:「ピー子、お前の視力『ろくなもんじゃねえ』な!!」

ピー子:「お後がよろしいようで」

 

その後、お犬様に遭遇することなく無事に我が家へ帰還した我々は、空腹だった。

 

とんこつラーメンが食べたくなり、専門店の「一蘭」へ車を走らせた。

駐車場に車をいれて降りようとした時、夫の様子がおかしいのに気が付いた。

 

ピー子:「どうしたん?」

夫:「向かいに止まってる車の運転手が、メッチャ見てくる」

ピー子:「ほんとや!なんか心当たりある?」

夫:「ない。いこう!」

 

「あの~」

 

お店に入ろうとした瞬間、後ろから声をかけられた。

振り返ると、若人(わこうど)が立っていた。

しかも、国宝級と言っても過言ではないほどのイケメンだ。

 

私と夫は、知らない若人に急に声をかけられた驚きで、返事をすることができなかった。

2人の共通認識は、「駐車場で向かいの車にのってた人だ!」だった。

気付かないうちに彼に何かをしてしまっていて、我々は今からボコられるに違いない。

 

若人:「あの~」

夫:「はい?」

 

語気を強め臨戦態勢に入る夫を、見守るピー子。

 

若人:「ボク……」

夫:「はい!!」

ピー子:「えっ!!!ほそ太郎?」

若人:「うん、車から2人がみえたから……」

ピー子:「ビックリした!久しぶりに会ったら、メッチャ変わってて気が付かんかったわ」

夫:「ほ、ほ、ほそ太郎か?」

ほそ太郎:「うん、父さん」

 

私と夫はバツイチ同士だが、ほそ太郎は夫と前妻の間の子供で、当時20歳だった。

 

数ヶ月会っていないとはいえ、自分の息子に気がつかず臨戦態勢をとってしまった夫はさすがにショックを受けているようだった。

 

夫よ!そんなにへこむことはない!!

 

1万人を対象に独自に行った「はやいものは?」という調査の結果を、ランキングにしたものがこちらだ。

 

子供の成長とは、おどろくほど早いものなのだ。

とは言っても、愛する我が子の顔がわからないなんて……。

 

ピー子:「ほそ太郎よ!お前の父ちゃん『ろくなもんじゃねえ』な!」

ほそ太郎:「お後がよろしいようで」