エッセイ

嗜好人 (しこうびと) 1  ~大好きな人~

嗜好品
読み方:しこうひん

栄養摂取を主な目的とせず、風味や味、摂取時の高揚感などを楽しむために用いるもの。

※コーヒー、ビール、タバコなどは「嗜好品」といわれる。

 

私の頭の中には、嗜好品ではなく「嗜好人名鑑(しこうびとめいかん)」というものがある。

自身で定義した「嗜好人(しこうびと)」は以下のようなものである。

 

嗜好人
読み方:しこうびと

同性・異性に関わらず、恋愛を主な目的とせず、関わった時の高揚感、安らぎ、その人に対するリスペクトなどを楽しむために存在する人。

※人として大好きな人物のことである。

 

先日、ドSな私がその能力を最大限に活かしてかわいがっている会社の同僚に「嗜好人」の話をした。

そして「嗜好人名鑑」に名を連ねているメンバーについて説明した。

 

日々、私にいじり倒されているドMなM子は縮みあがった。

 

M子:「恐るべし、嗜好人名鑑!」

M子:「ドSのピー子さんに気に入られたらおしまいっすね」

M子:「骨の髄までしゃぶられて、ボロ雑巾のように捨てられる」

M子:「ぴえんこえてぱおん」

 

この女は一体、なにをいっているのか…。

 

ピー子:「名鑑に入ることができれば、一生、私に愛され優遇されるんだぞ」

ピー子:「M子も、いれたろかー?」

ピー子:「M子はカワイイから、私が将来アラブの石油王になった暁には、ベッドの横で大きいうちわで私をあおぐ係をあたえてやろう」

 

M子:「ピー子さん、マジっすか!うれしみが深い」

 

その、若者言葉を即刻やめい!

もし、私達がバンドを組んでいたなら「音楽性の違い」により解散である。

しかし、無期限活動休止くらいで許してやろう。

なぜかって?

憎めないかわいらしさが、そこにあるから。

 

嗜好人NO.1

名前:鈴木
職業:税理士
年齢:30代?

私が働いている会社で契約している、税理士さんである。

小さめのエレベーターにのったとき、天井を突きやぶらんとする勢いを感じた。身長は185cm以上とみるのが妥当であろう。

家族を愛し、頭が良く、腰が低い。

オシャレパーマだと思っていたヘアスタイルは、くせ毛らしい。

両親におおいに感謝するべきだ。

 

未経験の私が、経理としていまの会社に入社したのは数年前。

引き継ぎをしてくれるはずの先任者は、こつぜんと姿を消したあとだった。

 

そんな時、税理士の鈴木と対面した。

その日を、歌人の俵万智へのリスペクトを込めて「鈴木記念日」と名付けよう。

「簿記がわからなくたっていいね」と君が言ったから七月六日は鈴木記念日。

 

鈴木をひと言で説明しろと言われたら「上質なドS」だ。

その質の良さはまるで、床の上の芸術品「ペルシャ絨毯」もしくは、ドイツ製のベルベット生地のようだ。

彼の前では、自称ドSのピー子もドMへと成り果ててしまう。

 

エピソード1 ~電話にてお願い編~

 

ピー子:「鈴木先生、ご機嫌うるわしいですか?」

鈴木:「うるわしくないです」

ピー子:「質問が。そういえば、私みたいに頻繁に電話してくるクライアント他にいますか?」

鈴木:「いませんね。どうしました?」

ピー子:「社長に頼まれて、試算表が今日中に必要です」

ピー子:「泣いてお願いしても、無理ですよね?!」

ピー子:「さすがに無理だ。断りましょう。断ってください。社長には伝えますから」

 

鈴木:「確かに、難しいです」

鈴木:「でも、この仕事を始めてから、『泣いてお願いしても、無理ですよね!?』なんて言われたの、初めてです」

鈴木:「だから、今日中に作ります」

 

鈴木の対応は「退かぬ!!媚びぬ 省みぬ(かえりみぬ)!!」という北斗の拳のサウザーの名言を彷彿とさせる。

サウザーは非道な行いの数々を尽くしたが、その裏には彼が純粋すぎたゆえの苦悩があったからだ。

媚びないが、実はやさしい。実写版サウザー税理士、それが鈴木だ。

 

エピソード2 ~ミーティング後の雑談編~

 

ピー子:「鈴木先生って、簿記がわからなくてトンチンカンな質問しても丁寧に答えてくれる」

ピー子:「先生とか呼ばれてると、上から目線になっちゃいそうだけど〜。いつも腰が低い」

鈴木:「僕は、勉強してるとき全然わかんなかったから。わからない人の気持ちがわかるだけです」

鈴木:「あと、私生活では自分の事を人間の底辺だと思ってますから」

ピー子:「底辺!!どうした鈴木?なにがお前を狂わせた!?」

 

鈴木よ、待っていてくれ!私がアラブの石油王になった暁には、貴方をお抱え税理士にする。

 

その日まで、私も「退かぬ!!媚びぬ 省みぬ(かえりみぬ)!!」