エッセイ

嗜好人(しこうびと) 2 ~大好きな人~

嗜好品
読み方:しこうひん

栄養摂取を主な目的とせず、風味や味、摂取時の高揚感などを楽しむために用いるもの。

※コーヒー、ビール、タバコなどは「嗜好品」といわれる。

私の頭の中には、嗜好品ではなく「嗜好人名鑑(しこうびとめいかん)」というものがある。

自身で定義した「嗜好人(しこうびと)」は以下のようなものである。

嗜好人
読み方:しこうびと

同性・異性に関わらず、恋愛を主な目的とせず、関わった時の高揚感、安らぎ、その人に対するリスペクトなどを楽しむために存在する人。

※人として大好きな人物のことである。

嗜好人(しこうびと) 1の記事はこちら

税理士
嗜好人 (しこうびと) 1  ~大好きな人~嗜好品 読み方:しこうひん 栄養摂取を主な目的とせず、風味や味、摂取時の高揚感などを楽しむために用いるもの。 ※コーヒー、...

転職、出勤、初日。

社長
社長
ピー子くん、あれが君の直属の上司、課長の田端くんだ
社長
社長
今日から、田端くんの営業アシスタントをたのむよ

社長の視線の先に目をやると……。

そこには、ただただ「天然パーマ」の男が佇んでいた。

それは、果てしなく広がる海に時折おとづれる凪のような……。

時には部下を千尋の谷に突き落とす、獅子のような……。

あるいは、とても寒かった日の夕食にだされたクリームシチュー……。

そんな修飾語が似合う、「天然パーマ」であった。

 

トントントントン……。

トントントントン……。

私は仲良くなるために、勝手に「たばやん」と呼びながら彼の心の扉をノックし続けた。

気がつくと私達は、トムとジェリーのように毎日「仲良くケンカ」していた。

2年かかってやっと、彼の重い心の扉が開かれたのだ。

「たばやん、御開帳~~!」である。

当初、ひとみしりのため多くを語らなかった彼から垣間見える人柄が、私をひきつけて離さなかった。

たばやんの特徴

  • オオカミの皮をかぶった羊(オラついているが実はやさしい)
  • オチャラケていじられ役をやっているのは計算
  • 仕事ができる
  • 部下の力を信じ、伸ばそうとしている
  • 家族をとても愛し、大切にしている

嗜好人NO.2

名前:田端 (たばやん)
役職:営業課長
年齢:30代

彼は、頭髪へのこだわりが非常に強い。

ピー子
ピー子
たばやん、その天然パーマいつから?
たばやん
たばやん
天パーじゃない、くせ毛!
ピー子
ピー子
天パーやん!やーい、天パー
たばやん
たばやん
くせ毛だわ!
ピー子
ピー子
じゃあ、天パーとくせ毛の違い説明してよ
たばやん
たばやん
うるせーなー

こういった具合に、話し合いはいつも平行線だった。

しかし、そんな言い争いをした次の日は、私が大好きな「たばやん特製カツサンド」を作ってきてくれた。

エピソード1 ~あなたエスパーなの?編~

その日も、10分間の朝礼はいつも通り終わった。

席に着こうとした瞬間、斜め前から声がした。

たばやん
たばやん
オイ、ピー子。今日はもう帰れ
ピー子
ピー子
えっ!なんで?
たばやん
たばやん
いいから帰れ
たばやん
たばやん
お前、体調悪いだろ

誰にも気付かれないようにいつも通りに振る舞っていたが、朝からひどい頭痛と倦怠感に襲われていた私。

感謝しつつ、帰路についた。

「たばやんのやさしさ、御開帳~~!」である。

エピソード2 ~あなたSPなの?編~

会社で忘年会が開催されることになった。

事前にくじびきで席を決めるのだが、ドキドキしていた。

ひどいセクハラ発言をしてくる外部講師と、隣の席になるのだけはごめんだ。

運良く、周りは仲の良いひとばかりだった。

 

それから1年後、仲の良い幹部の1人がおしえてくれた。

実は、去年のくじ引きでピー子がひいたのは、セクハラ講師の隣の席だった。

それを聞いたたばやんが、幹部達に必死で事情を説明して席を変えるように動いたらしい。

「たばやんのやさしさ、2度目の御開帳~~!」である。

 

親友のあさ子とランチをしていたとき、偶然たばやんの話になった。

あさ子
あさ子
ねぇ、たばやんの写真ないの?
ピー子
ピー子
あるよ。見たことなかったっけ?これ。右から3番目の人
あさ子
あさ子
え……。これ?イケメンかと思ってた
ピー子
ピー子
イケメンなんて言ってないやん
あさ子
あさ子
わかった。ピー子が話すたばやんのエピソードが、あまりにもイケメンだから
ピー子
ピー子
アヒャヒャヒャヒャヒャー、事実をのべただけやん
あさ子
あさ子
ただの天パーやん
ピー子
ピー子
違う。ただの天パーやないよ
ピー子
ピー子
たばやんは、最高にやさしいくせ毛や

「ピー子のたばやんへのリスペクト、御開帳~~!」