私だけなのだろうか?
はたまた、誰しもに起こりうる、あるいは日常的に起こっている現象なのだろうか?
言葉や人の名前で、どうしてもおぼえられないものがある。
そしてそれらは、普段づかいなものが多いため会話に支障をきたす。
この記事で紹介済みだが……。
エッセイを書いたらどうかと人にすすめられ、始めることにした。
それなのに、初歩中の初歩であるエッセイという言葉がおぼえられないのだ。
致命的である。
という具合に、解決策を見いだせる場合はよいが、そうでない場合は非常にタチが悪い。
これは由々しき問題だ。
早急にこれを解決するべく「PMK (ピー子の・問題・解決せな)」という非政府組織を立ちあげた。
まずは、原因の究明に着手した。
カタカナの言葉と人名やニックネームが、特に苦手なようだ。
知り合って5年ほどたつ、渡部さん……。
「わたなべさん」か「わたべさん」か、いまだにわからない。
題して「ピー子は滑舌悪い人なんです大作戦」
大・成・功!!である。
ふぁふぁべさんがもってきてくれたネギは、新聞紙に花束のようにつつまれていた。
ネギのブーケを私に手渡しながら、彼女はこう言った。
年齢的には彼女の方だいぶ、お姉様だと思うが…。
目に入れても痛くない、かわいい娘のようものである。
夫に何度目かの確認をしたら「わたべさん」ではなく「わたなべさん」だということだが、今回もおぼえられそうにない。
最近、ふぁふぁべさんは結婚し、田中さんになった。
「さようなら。ふぁふぁべさん」
「こんにちは。たなかさん」
結婚により、世に言う「渡部問題」に終止符がうたれた。
このエッセイを書きながら気付いたが、ふぁふぁべさんでは「わたなべさん」はカバーできていない。
「わたなべさん」なら、ふぁふぁふぁべさんだ。
おぼえられない言葉と言い換え
- 定例セミナー (入会しているサロンの) → あれよ、あのサロンの月に1回やるやつ
- アヒージョ → 油まみれの海鮮
- ラジコン → メッチャ小さい車
非政府組織「PMK (ピー子の・問題・解決せな)」の力をもってしても、この根深い問題を解決するにはかなりの年月を要するだろう。
しばらくは、上記のような言い換えでしのぐという結論に達した。
そんなピー子だが、この呪文だけはいつ、なんどき、誰に聞かれてもスラスラ答えられる。
宮崎駿の『天空の城ラピュタ』の有名なセリフだ。
「リーテ・ラトバリタ・ウルス・アリアロス・バル・ネトリール」
「我を助けよ。光よよみがえれ」という意味だ。
物語の中で、主人公のシータがこの呪文を唱えることにより、ロボット兵が起動しシータを助ける。
そして、飛行石 (力を持った石)がラピュタまでの進路を指し示す。
ラピュタ人 (シータ)がラピュタ (故郷)へ帰るための呪文だったのだ。
非政府組織「 PMK (ピー子の・問題・解決せな)」は総力をあげて呪文を唱えた。
藁にもすがる思いだ。
「我を助けよ。記憶力よよみがえれ」
「そして、忘却石よ!」
「エッセイの終わり方に迷走する私に、正しい着地点の進路を指し示したまえ」